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コールサック社メールマガジン2019年11月29日配信号

100号を迎え、新たな出発へ。
                 鈴木比佐雄

「コールサック」(石炭袋)が100号を迎えて、本日刊行された。
100号への思いを後記の冒頭部分に記したので引用したい。


1987年12月に「コールサック」(石炭袋)創刊号は刊行された。
当初は手作りのコピー用紙を綴じた個人誌だったが、それから毎号少しずつ
新しい試みをして三十二年が経過して今号で100号を迎えた。
私は「コールサック」が必要で本当にやりたいことだったから、
毎号このような詩的な創作の場所を生み出せることを楽しんで企画・
編集・発刊してきた。いくつかの同人誌などを経て、「コールサック」を
刊行する時に詩的精神が続く限り刊行していく予感のようなものが芽生えていた。
賢治の詩的精神に生かされてきた私は、異なる表現・テーマを追求している
多様な詩人・文学者たちと一緒に賢治の精神を引き継ぎ発展させる新しい
文学運動を「コールサック(石炭袋)」の中でしていきたいと願っていたからだ。
私の命は有限だが、賢治の精神は引き継がれて永遠に必要とされるのだ
という思いが原点にあった。2006年にコールサック社という出版社を
創業し、最近の出版案内には左記の理念を記している。

〈コールサック社は、宮沢賢治の「ほんとうの幸せ」を実践するための
「宇宙意志」を胸に秘める文芸・評論・芸術書の出版社です。//
コールサックとは『銀河鉄道の夜』九章に記された「石炭袋」であり/
暗黒星雲、異次元の入口、愛する人の住む幸せの入口の意味です。/
ほんとうは誰もが豊かな詩的精神を持つ詩人であり、/この世に生まれた
奇跡を感じ取りその美を生み出せる芸術家です。/そんな宮沢賢治のような、
他者の痛みを感受し/生きとし生ける物すべての幸せを願う人たち、/
歴史を踏まえ現実を直視する証言者でありながら、/次の時代を創るために
有限な自己を踏み越えてしまう人たち、/内面の奥深くを辿り新たな
「石炭袋」を想像してしまう、/詩人、歌人、俳人、作家、評論家などの
冒険者たちを/コールサック社は世界に発信し後世に語り継いでいきたい。〉

このような詩的精神をこれからも原点として、文芸誌「コールサック(石炭袋)」や
書籍を刊行していきたいと心を新たにしている。


以上のように私にとっては、「コールサック」(石炭袋)の理念を生きて
反復していくことが課題である。100号を迎えてもまだ達成感などはあまりなく、
「未完成」の文芸誌だからこそやりがいがあるように思っている。
これからも毎号、新たな挑戦をスタッフや寄稿者たちとともにしていきたいと考えている。

12月8日(日)午後2時から6時まで開催される〈「コールサック」(石炭袋)
100号・『東北詩歌集』刊行記念会〉(お茶の水駅近くの「エスパス・ビブリオ」)
はまだ定員(60名)に達していませんので、ご都合のよい方はぜひご参加下さい。
講演者は俳人・評論家で深夜叢書社代表の齋藤愼爾氏と沖縄の詩人・評論家の与那覇恵子氏だ。
齋藤氏は今年の初めにコールサック社から評論集『逸脱する批評――寺山修司・
埴谷雄高・中井英夫・吉本隆明たちの傍らで』を刊行した。齋藤氏は俳人として有名だが、
戦後の優れた作家・批評家の素顔からその文学の深層を照らしながら、その時代全体を
語り出す魅力的な文体を持った評論家・評伝作家でもある。
与那覇恵子氏は長年沖縄の大学で同時通訳の講座などを行ってきた英語教育のスペシャリストだ。
その傍ら地元紙の論壇で沖縄の現場の声を語る社会時評を書き継ぎ、沖縄の雑誌
「南溟」で詩を発表してきた。今年の初めに詩集『沖縄から 見えるもの』、
評論集『沖縄の怒り――政治的リテラシーを問う』をコールサック社から刊行した。
詩集『沖縄から 見えるもの』は今年の第33回福田正夫賞を受賞した。

参加者の皆様にはスピーチや朗読もしてもらいたいと考えて時間もたくさん
取っております。案内状をリンクしますのでぜひご参加下さい。

http://www.coal-sack.com/news/view/2601/


今月は下記の本を刊行した。
坂井一則詩集『ウロボロスの夢』
小坂顕太郎詩集『卵虫』
堀田京子作・味戸ケイコ絵『ばばちゃんのひとり誕生日』
中津攸子小説『万葉の語る 天平の動乱と仲麻呂の恋』

坂井氏の詩「ウロボロスの夢」は「夢の中で一匹の蛇が自分の尾を食んでいた」から始まり、
「ウロボロスの輪(リング)」のという宇宙の中に私たちもいるのではないかという思いにとらわれてくる。

小坂氏の詩「卵虫」では詩「卵虫」を読むと「緋色の卵虫が/片足へ/ぽつむと落ちて/
拇趾と第二趾との間を/見事に遊泳する」というように、「卵虫」の美しいイメージが想像されて動き出すのだ。

堀田京子作・味戸ケイコ絵『ばばちゃんのひとり誕生日』は、戦争中の防空壕の
赤ちゃん時代から令和時代に生きている作者が子供たちに「わたしはひとりではない」と優しく逞しく語りかけている。

中津氏の『万葉の語る 天平の動乱と仲麻呂の恋』は、古代の動乱を通して、
遣唐使阿倍仲麻呂を36年間も待ち続けていた一人の女性の物語で、涙なくして読めないだろう。

機会があれば、ぜひ読まれて下さい。
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  1. 2019/12/27(金) 11:03:35|
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